アメックスには、旅行の航空機やホテル、コンサートチケットなどのキャンセル料金が発生した場合、補償してくれるサービスがあります。それがキャンセル・プロテクション。
キャンセル料金が補償されると聞くと、もしかすると以下のように考える人も多いのでは?
- 早い時期から飛行機やホテルの予約ができて、早割のようなサービスをフル活用できる
- 年に1度でもキャンセル料金が補償されたら、アメックスの年会費の元が十分に取れる
実は、管理人もキャンセル・プロテクションという名前を聞いて、航空会社でキャンセル料金が返ってこない早割みたいなチケットでも、アメックスが代金を補償してくれる!?と期待しました。
でも、実際にはそういった手軽な使い方はできません…(泣)
キャンセル・プロテクションが適用されて料金が返って来るのは、死亡や入院、ケガによる通院、海外出張といった限られた理由でのキャンセル料金だけなんです。
それでも、チケットのキャンセル料金を補償してくれるサービスはとても希少なのは事実。
このページでは、アメックスのキャンセルプロテクションについてくわしく説明します。
もしキャンセルプロテクションに大きな魅力を感じてアメックスを持ちたいと考えているなら、ぜひ知っておいていただきたい内容です。
アメックス・グリーンには付いていない
まず始めに、キャンセル・プロテクションはすべてのアメックスに付帯しているわけではありません。
具体的には、アメックスグリーンには付帯しておらず、アメックス・ゴールドで利用できるサービスです。
ここからは、アメックス・ゴールドに付帯しているキャンセルプロテクションについてくわしく説明します。
航空券やチケットのキャンセル費用を補償してくれるサービス
キャンセルプロテクションのサービス内容について、具体的に説明します。
キャンセルプロテクションとは、冒頭でも説明したとおり、飛行機やホテル、コンサートなどを予約し、キャンセル料金が発生したり前払いで払い戻しが受けられなかったりしたときに補償されるサービスのことです。
このサービスはアメックス・ゴールド以上のカードを持っていれば自動的に適用されます。ですから、カードの年会費のほかに保険金などを支払ったり、カードとは別に申し込みをしたりといった手間は不要です。
たとえば、奥さんがアメックス・ゴールドの家族カードを持っていて、1人でコンサートに行こうと思い予約しているとします。このチケットをやむを得ずキャンセルし、キャンセルプロテクションが適用される条件を満たせばキャンセル料金が補償されます。
このように、キャンセルプロテクションはアメックス・ゴールドの本会員だけでなく、家族カードでも適用されます。
ここからは、キャンセルプロテクションが適用される具体的なチケットの種類やキャンセルの理由、補償金額や請求方法を説明します。
補償されるチケットの種類
キャンセルプロテクションが適用されるチケットの種類は、国内外ツアーの参加費や旅館、ホテルの宿泊代金、航空機や電車、バスのような移動手段、ディナーショー、陶芸教室のような習い事、演劇や音楽、映画のような興行です。なお、キャンセルプロテクションの規定では以下のように決められています。
- 国内旅行契約、海外旅行契約に基づくサービス
- 旅館、ホテル等の宿泊施設の提供およびそれに付帯するサービス
- 航空機、船舶、鉄道、自動車等による旅客の輸送
- 宴会、パーティーの用に供する施設の提供およびそれに付帯するサービス
- 運動、教養等の趣味の指導、教授または施設の提供
- 演劇、音楽、美術、映画等の公演、上映、展示、興行
キャンセルプロテクションは、これらのチケットを前もって予約し、代金をアメックス・ゴールド以上のカードで支払ったときに適用されます。
たとえアメックス・ゴールドを持っていても、ほかのクレジットカードで代金を支払ってしまうとキャンセルプロテクションは適用されません。ですから、必ず旅行代やチケット代はアメックス・ゴールドで決済するようにしましょう。
適用される理由はたったの4つ
ここまで説明したとおり、キャンセルプロテクションは旅行やコンサートのキャンセル料金が補償されるサービスです。しかし、補償されるキャンセル理由は以下のたった4つに限られています。
- 死亡
- 入院(妊娠や出産は対象外)
- ケガによる通院
- 海外出張(経営者や事業主など、出張を命令できる立場の人はNG)
ですから、数か月前から旅行やコンサートを予約していたものの、単に仕事やプライベートで外せない予定が入ったからという理由だけでは活用できません。
以下では、キャンセルプロテクションが適用される4つの理由について、くわしく説明します。
1.カード会員本人や身内の死亡
キャンセルプロテクションが適用される1つ目の理由は、死亡です。カード会員本人や配偶者、子供、本人や配偶者の父母といった身内が死亡したために旅行やコンサートをキャンセルして料金が発生したとき、年間10万円まで補償されます。
また、身内の死亡は旅行やコンサート当日からみて31日以内が補償の対象です。もし旅行やコンサートの31日より前に身内が亡くなられてキャンセル料が発生しても、残念ながら補償は受けられません。
ただし、カード会員本人に限っては、旅行やコンサートからどれだけ前に亡くなられても補償の対象になります。
ちょっとややこしいので、死亡によりキャンセルプロテクションが適用される条件を以下のとおり表にまとめました。
キャンセル理由 | 補償される期間 | ||
---|---|---|---|
始期 | 終期 | 例外 | |
死亡 | 死亡の日 | 死亡の日を含めて 31日以内 |
カード会員本人の死亡は 期限なし |
身内に不幸があった場合は旅行やコンサートどころではありません。そのようなとき、キャンセル料金を気にせずに旅行やコンサートをキャンセルできます。
もしも身内が重病で、いつ万一のことがあるか分からない状況の方ならキャンセルプロテクションを活用できます。ただ、身内が重病で旅行やコンサートに行くことはまずないため、キャンセルプロテクションは身内に急な事故があった場合に役立つ補償だと言えます。
2.カード会員本人や身内の入院
キャンセルプロテクションが適用される2つ目の理由は、入院です。カード会員本人や身内が入院したために旅行やコンサートをキャンセルして料金が発生したとき、年間10万円まで補償されます。
ここでいう身内とは、死亡の場合とまったく同じでカード会員本人や配偶者、子供、本人や配偶者の父母です。
そして、キャンセルプロテクションの補償が受けられるのは、旅行やコンサート前の31日以内に入院したときです。
なお、死亡の場合はカード会員本人なら補償される期間に例外がありましたが、入院の場合は例外はありません。入院によりキャンセルプロテクションが適用される条件を、以下のとおり表にまとめました。
キャンセル理由 | 補償される期間 | ||
---|---|---|---|
始期 | 終期 | 例外 | |
入院 | 入院開始日 | 入院し始めた日を含めて 31日以内 |
なし |
カード会員の方が20~30代などのように若ければ、入院する心配はまずないかと思います。しかし、父母や子供が急に入院することになって楽しみにしていた旅行やコンサートをキャンセルしなければならないのは、表には出せませんが内心大きなショックです。
そのようなときに、せめてキャンセル料金だけでも戻ってくれば、精神的なショックが半減できます。
先ほども説明したとおり、キャンセルプロテクションが適用される4つのキャンセル理由の中では、この入院がもっとも活用場面が多いと考えられます。カード会員本人や身内に万が一のことがある可能性は低いですし、これから説明する通院や海外出張は条件が厳しすぎるからです。
3.カード会員本人や身内のケガによる通院
キャンセルプロテクションが適用される3つ目の理由は、通院です。通院と言えば、ここまで説明した死亡や入院よりも活用できる場面が多いのでは? と感じますが、通院で補償が受けられる条件があまりに厳しすぎるため、ほとんど使い物になりません。
具体的には、カード会員本人や身内(対象者は死亡や入院とまったく同じ)が旅行出発日やコンサート当日にケガで通院しなければならなくなったときに補償が受けられます。しかも、この通院は初診に限られます。
ケガによる通院でキャンセルプロテクションが適用される条件を、以下のとおり表にまとめました。
キャンセル理由 | 補償される期間 | ||
---|---|---|---|
始期 | 終期 | 例外 | |
ケガによる通院 | 通院の初診日 | 初診日のみ | なし |
そのため、通院でキャンセルプロテクションの補償を受けられるのは、旅行やコンサートの当日にカード会員本人や身内が事故に遭うなどでケガを負い、病院に行くためにキャンセルする場合です。
ケガをして通院するのが旅行やコンサートの前日より前だったり、たとえ旅行やコンサート当日に通院したとしても、初診ではなく2回目以降の通院なら補償が受けられません。しかも、病気での通院は対象にならないという何とも厳しい条件です。
ですから、キャンセルプロテクションの適用される理由の1つである通院を活用できる場面は意外と少ないと言えます。
4.カード会員本人の海外出張
キャンセルプロテクションが適用される4つ目の理由は、カード会員本人の海外出張です。カード会員本人が旅行やコンサートに参加できない日程の海外出張に行かなければならなくなったためにキャンセル料金が発生したときに補償が受けられます。
この条件は、普段から海外出張の機会が多い方であれば、キャンセル料金を気にせず旅行やコンサートを予約することができます。ただ、出張は海外に限られているので、多くの業種の方にとってはまったく活かせない適用条件です。
なお、旅行やコンサートの予約後に会議や国内出張のような仕事で外せない予定が入ったとしても適用されません。会議や国内出張でも適用されたら、キャンセルプロテクションのためだけにアメックス・ゴールドに申込む価値は大いにあるのですが…。
ここまで説明したとおり、キャンセルプロテクションはカード会員本人や身内の死亡、入院、ケガによる通院、そしてカード会員本人の海外出張という4つの理由によりキャンセル料金が発生したときに補償が受けられます。
補償金額は年間10万円で自己負担がある
ここまでキャンセルプロテクションが適用されるチケットの種類とキャンセル理由についてくわしく説明しました。ただ、キャンセルプロテクションは条件さえ満たせばいくらでも補償されるわけではありません。1年間で補償される金額の上限が以下のとおり決められています。
キャンセル理由 | 1年間の補償金額の 上限 |
回数の制限 |
---|---|---|
死亡 | 10万円 | なし |
入院 | 10万円 | なし |
ケガによる通院 | 3万円 | なし |
海外出張 | 10万円 | 年1回 |
注意が必要なのは、それぞれの理由ごとに上限まで補償されるわけではないことです。たとえば、1年のうちに入院で10万円の補償を受けた場合、それ以降はたとえ条件を満たしたとしても補償を受けることはできません。
また、通院で3万円の補償を受けると、残りの期間では死亡や入院、海外出張で7万円までの補償を受けることができます。そして、海外出張による補償は金額が最大10万円に加えて、年1回だけという制限があります。
なお、キャンセルプロテクションの「年間」は、2月〜翌年1月までです。毎年1月末に上限がリセットされます。
たとえばキャンセル料金3万円の補償を受けるとき、10%の3,000円はカード会員の負担になります。また、補償を受けるのが5,000円のときはキャンセル料金の10%である500円よりも1,000円の方が高いので、カード会員の自己負担1,000円を差し引いた4,000円を受け取ることができます。
以上のとおり、キャンセルプロテクションは年間10万円を上限に補償を受けることができます。ただし、通院だけは上限3万円で、海外出張は年に1度しか補償を受けることができません。
キャンセルをした後で請求の電話を
実際に旅行やコンサートをキャンセルしてキャンセル料金が発生したとき、ただ待っているだけではキャンセルプロテクションの補償を受けることはできません。カード会員が補償金を請求する必要があります。
ここではキャンセルプロテクションの補償金の請求方法を説明します。
1.旅行やコンサートをキャンセル
まずは旅行やコンサートのチケットをキャンセルします。旅行代理店やチケット販売所に連絡しましょう。
カード会員がキャンセルをしていないとキャンセルプロテクションの補償を受けることはできません。実際にキャンセル料金がかかるかどうか、またいくらかかるのかが確定しないからです。
2.キャンセルプロテクションの補償金を請求
旅行やチケットをキャンセルしたら、実際に補償金を請求します。
具体的には、アメックスのキャンセルプロテクション係に電話をし、キャンセルプロテクションの補償を受けたいことを伝えます。
0120-860-420(受付時間:平日の午前9時~午後5時)
補償金の請求には、請求書をはじめチケットの種類やキャンセル理由がキャンセルプロテクションの適用条件を満たしていることを証明する書類の提出が必要です。具体的には旅行やコンサートに申し込み、キャンセル料金が発生したことと、実際に死亡や入院、通院、海外出張の事実を証明する書類です。
くわしくは上記の専用ダイヤルに確認し、必要な書類を用意して提出しましょう。
まとめ
このページでは、アメックスのキャンセルプロテクションについてくわしく説明しました。アメックス・ゴールド以上のカードに付帯しているキャンセルプロテクションは、旅行やコンサートのキャンセル料金が発生したときに補償してくれるサービスです。
ただ、補償が受けられるキャンセル理由がごく限られており、仕事の会議や国内出張が理由で旅行やコンサートをキャンセルしたとしても補償されないことに注意が必要です。
キャンセルプロテクションが適用される条件として、多くの方が活用できそうなのはカード本人や身内が入院したことによるキャンセル料金の発生です。カード会員本人や身内の方の入院が理由で、せっかくの旅行やコンサートをキャンセルせざるを得なくなったときに補償を受けたいかどうか? この点がキャンセルプロテクションが付帯したアメックス・ゴールドを持つかどうかの判断材料になります。
また、急な海外出張が入る可能性がある仕事の方であれば、アメックス・ゴールドのキャンセルプロテクションが活用できる場面は比較的多い可能性があります。キャンセルプロテクションでは年1回に限り、旅行やコンサートの予定日と海外出張がカブってしまってキャンセル料金が発生したときに補償が受けられるからです。
アメックス・グリーン(月会費1,100円/税込)とゴールド(年会費31,900円・税込)の年間のコストの差額が18,700円であることを考えると、年1度だけでもキャンセルプロテクションを活用するだけでアメックス・ゴールドの方がコスパに優れたカードになります。
ですから、キャンセルプロテクションを基準にアメックス・ゴールドとアメックス・グリーンのどちらを持つべきかを判断するとすれば、入院と海外出張が理由でキャンセルプロテクションを活用できるかどうかになります。